文人悪食

嵐山 光三郎

「何か喰いたい」臨終の漱石は訴え、葡萄酒一匙を口に、亡くなった。鴎外はご飯に饅頭を乗せ、煎茶をかけて食べるのが好きだった。鏡花は病的な潔癖症で大根おろしも煮て食べたし、谷崎は鰻や天ぷらなど、こってりした食事を愉しんだ。そして、中也は酒を食らって狂暴になり、誰彼構わず絡んでいた。

三十七人の文士の食卓のエピソードを、同じく作家である嵐山光太郎が描く、ユーモアたっぷり(時に皮肉をこめた)の物語集。とっても面白いです!

夏目漱石―ビスケット先生
森鴎外―饅頭茶漬
幸田露伴―牛タンの塩ゆで
正岡子規―自己を攻撃する食欲
島崎藤村―萎びた林檎
樋口一葉―ドブ板の町のかすていら
泉鏡花―ホオズキ
有島武郎―『一房の葡萄』
与謝野晶子―一汁一菜地獄
永井荷風―最後に吐いた飯つぶ
その他 (斎藤茂吉、種田山頭火、志賀直哉、高村光太郎、北原白秋、石川啄木、谷崎潤一郎、萩原朔太郎、菊池寛、岡本かの子、内田百間、芥川龍之介、江戸川乱歩、宮沢賢治、川端康成、梶井基次郎、小林秀雄、山本周五郎、林芙美子、堀辰雄、坂口安吾、中原中也、太宰治、檀一雄、深沢七郎、池波正太郎、三島由紀夫)

関連商品はありません