映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015)

とても面白かったです。肖像画をめぐり、戦争、国、個人、差別といったことを考えさせられる映画でした。
グスタフ・クリムトの絵画『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I』(通称:黄金のアデーレ)を巡る実話をもとにしたものがたり。肖像画のモデルとなったアデーレの、アメリカで暮らす82歳の姪マリア・アルトマンが、まだまだ駆け出しの弁護士で、あのアルノルト・シェーンベルクの孫に依頼して、ナチスに奪われた絵画『黄金のアデーレ』の返還を求め、オーストリア政府を相手に裁判を起こし見事奪還するというもの。しかし、彼女は決してお金が欲しかったわけはなく、戦争やホロコーストによって奪われた家族やその大切なものをとりもどしたいという、ただ一人の個人の当たり前の願いだった。

映画のエンディングでは、ナチスの収奪した10万点にも及ぶ美術品の多数が返還されていないことも示される。
ナチスに限らず、世界中に同じようなことがあるのでしょう。

でも、音楽がちょっと残念だったかも・・・主人公の一人が、シェーンベルクの孫!なんだし、もっと、クリムトの世紀末のウィーンを感じる音楽を使ってもいいと思うんだけど。よくある、ハリウッド映画の音楽って感じでした・・・