文人暴食

嵐山 光三郎

野人・怪人と謳われた南方熊楠の好物はアンパン。本職が牛乳屋の伊藤左千夫は丼飯に牛乳をかけてもりもり食べたそうな。人肉嗜好の金子光晴は口腔内の頬肉を食いちぎって試食したというから驚きだ。そして美食家の折口信夫は若い頃のコカイン常用で殆ど嗅覚がなかったし、アル中の極みは若山牧水だった。ああ、食は人なり。三十七文人の食癖にみる近代文学史。『文人悪食』の続編。

三十七人の文士の食卓のエピソードを、同じく作家である嵐山光太郎が描く、ユーモアたっぷり(時に皮肉をこめた)の物語集。『文人悪食』に続き、とっても面白いです!

小泉八雲―一椀に白魚の泣き声を聞く
坪内逍遙―牛鍋は不良のはじまり
二葉亭四迷―快男児、酒を飲めず
伊藤左千夫―牛乳屋茶人
南方熊楠―山奥の怪人はなにを食うか
斎藤緑雨―筆は一本、箸は二本
徳冨蘆花―一膳の赤飯
国木田独歩―牛肉か馬鈴薯か
幸徳秋水―獄中で刺身
田山花袋―うどんと蒲団〔ほか〕

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