韓国の伽椰琴ー魂の散調

竹坡 金東俊

演奏者の竹坡は重要無形文化財第23号にも指定されている『伽耶琴散調』の草創期の名人金昌祖(キム・チャンジョ1865-1918)の孫娘。

『伽耶琴散調』は伝統音楽というには、それほど古い歴史はない。というのも、この『散調』は、巫の祈りを源に民衆芸術として成長し19世紀末頃に高い次元の器楽独奏曲として昇華され完成された伝統音楽だからだ。このCDの演奏者の竹坡の祖父、金昌祖が始めたと言われ、つづいて多くの名人たちが、それぞれ独自の散調を創作し種々のものが現在まで伝承されている。しかも、散調は師から教えられらたものをそのまま演奏し続けることは稀だそうで、師匠の散調を消化しつつも、新しい楽句と入れ替えたり加えたりとして進化される。

陰陽を表現するかのような緊張と緩和の対比、静寂から徐々に激しく即興的になる律動はまさに巫を彷彿させる。