ピリオド楽器から迫るオーケストラ読本

佐伯茂樹(監修)

モダン・オーケストラと同様の存在感を放つピリオド・オーケストラ。バロック時代だけでなく、古典派やロマン派のレパートリーを取り上げる団体も増えてきた。しかし、「古楽器=バロック時代の楽器」という誤った認識を持っているリスナーも少なくない。そこで、この本では、各楽器の時代ごとの違いを写真を示しながら、時代別のオーケストラの状況や使用楽器を解説。近代の楽曲の演奏まで突き進んだピリオド・オーケストラの鑑賞の手助けとする。このような知識は、彼らの「語法」を十分に汲み取り、ハイブリッドな演奏が可能となったモダン・オーケストラの鑑賞にも役立つ

【目次】
[Report] マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミー管弦楽団「ベートーヴェン交響曲全曲演奏会」(那須田務)
[Interview]有田正広(佐伯茂樹)
[Interview]フランソワ=グザヴィエ・ロト(佐伯茂樹)

第1章
名曲で辿る演奏スタイルの歴史(佐伯茂樹)
ヨハン・セバスティアン・バッハ「管弦楽組曲第4番」二長調BWV1069
モーツァルト「交響曲第35番」ニ長調K.385《ハフナー》
ベートーヴェン「交響曲第5番」ハ短調op.67
ベルリオーズ《幻想交響曲》
ヴェルディ「歌劇《運命の力》序曲」
ワーグナー「楽劇《神々の黄昏》」
ブラームス「交響曲第2番」op.77
シャブリエ「狂詩曲《スペイン》」
ブルックナー「交響曲第8番」ハ短調
ストラヴィンスキー「バレエ《春の祭典》」
ムソルグスキー/ラヴェル編「組曲《展覧会の絵》」
バルトーク「管弦楽のための協奏曲」

[佐伯茂樹のピリオド・コラム①]
フランスvs.ドイツという対立は「普仏戦争」以降に誕生した?

[佐伯茂樹のピリオド・コラム②]
ストラヴィンスキーの《春の祭典》をピリオド楽器で演奏する意味は?

[佐伯茂樹のピリオド・コラム③]
管弦楽法の大改革者リムスキー=コルサコフ

第2章 19世紀の楽器発展史~低音管楽器編~(佐伯茂樹)
二つの大きな改革がもたらした急激な変化

第3章 19世紀の楽器発展史~トランペット&ホルン編~(佐伯茂樹)
奏者たちが試みたトランペットの改良
狩猟の合図の道具から始まったホルン発展史

第4章 19世紀の楽器発展史~コントラバス&ティンパニ編~(佐伯茂樹)
現代における五弦コントラバスのルーツを探る(西澤誠治)
ピリオド・ティンパニの実情と問題点(久保昌一)

第5章 世界のピリオド・オーケストラ(佐伯茂樹)
ピリオド・オーケストラの登場と発展

[佐伯茂樹のピリオド・コラム④]
ピリオド・オーケストラが抱える問題点~なぜロマン派の管弦楽曲を取り上げるピリオド・オーケストラが少ないのか?/なぜピリオド楽器によるブラームスやブルックナーの演奏はリスナーに支持されにくいのか?

これだけは聴いておきたい ピリオド・オーケストラのCD
妥協を排し、真髄に迫る取り組みによって偉業を達成したバッハ・コレギウム・ジャパン
慣習にとらわれないブラームスやワーグナーを聴かせたロジャー・ノリントン
失われたフランス独自の響きを蘇らせたロト&レ・シエクルのCD
楽器だけでなく楽譜や演出にもこだわるロト&レ・シエクルのCD

古典派以降の音楽をレパートリーに持つ 世界のピリオド・オーケストラと注目のディスク
ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ
18世紀オーケストラ
グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊
アニマ・エテルナ
ウィーン・アカデミー管弦楽団
エイジ・オブ・インライトゥンメント・オーケストラ
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティック
レ・シエクル
ラ・シャンブル・フィルハーモニック

ムック: 141ページ
出版社: 音楽之友社 (2017年6月)

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