モーリス・ラヴェル『ダフニスとクロエ』

注目の指揮者、フランソワ=グザヴィエ・ロト(François-Xavier Roth)率いる、初演当時の楽器で作品を演奏するオーケストラ「レ・シエクル」(Les Siècles)。その最新作、モーリス・ラヴェル『ダフニスとクロエ』がリリースされた。ライブ録音であるが、やはり、とてもクリアな響きは素晴らしいの一言。

『ダフニスとクロエ』(1909-1912)は、モーリス・ラヴェルがバレエ・リュス率いるセルゲイ・ディアギレフより委嘱され作曲されたバレエ音楽。しかし、ディアギレフ自身は『ダフニスとクロエ』を気に入らなかったらしい。『ラ・ヴァルス』を“音楽的には名曲である”と認めながらもボツにしたりと、ラヴェルとディアギレフは何かと折り合いが悪い。といっても原因は、ラヴェルが“バレエのための”音楽を作曲しないことに起因する思われる。この『ダフニスとクロエ』も例外ではなく、音楽だけで完成された交響詩の要素が強い。しかも合唱付という贅沢な編成(上演にお金ががかる)と何気にラヴェルはやりたい放題。